シェイプ・オブ・ウォーター
こんにちは。ドロです。
早速、鑑賞してきました!
「パシフィック・リム」「パンズ・ラビリンス」「ヘルボーイ(シリーズ)」などで有名なギレルモ・デル・トロ監督が放つ新作。
です。
私はあまり監督で映画を選ぶって事はしないのですが、デルトロ監督やティムバートン監督の時は別で、単純に彼らの創造する世界を全身で味わいたいのです。ストーリーなんかも良くできてる事に越した事はないのですが、そうでなくても、私は彼らの映画を鑑賞できること
が嬉しいのです。なので勿論、好みは別れますし賛否両論あるとは思いますが、多少の贔屓はお許しください 笑
『圧倒的な世界観の構成力』
先ずはやはり、この世界観!のっけからもう映画の世界に引き込まれてしまいます。幻想的な映像と主人公のイライザの親友ジャイルズの語りで物語は始まります。1950.60年代のレトロかつ機械的で実際の当時より技術の進歩がある事を想像させるような世界はまるでTVゲームの「フォールアウトシリーズ」や「バイオショックシリーズ」を彷彿とさせます。(ディストピアではありませんが、そうなる前のようなイメージですね。)
ただアメリカとソ連の対立がわかるので、恐らく冷戦下であり、パラレルワールドではないのでしょう。(それにしては重要な研究対象のセキュリティがガバガバな気はしますが。)
ファンタジーとリアリズムの境目を違和感なく繋ぐこの手腕には
「流石デル・トロ監督だ!!」
と驚嘆せずにはいられない出来栄えでした。
単純な私の好みドストライク!って事もあるんですが、どのシーンも眼福の至り。背景のどこをとって見ても丁寧に作り込まれており、デルトロ監督が生み出す、このノワール感とアナログ感のある最先端技術の融合は好きな人達には最高の一品に仕上がっていました。
冒頭でも「デル・トロ監督の映画は観に行くだけで価値がある」と言ったと思いますが、そうなんです。彼は紛れもなく芸術家なんです。フェティシズムにガンガン訴えてくるんです。小映画は視覚で楽しむエンターテイメントの頂点だと思っているので、このスタイルは一つの最適解ですらあるのではないでしょうか。
『異形との愛』
主人公の女性イライザは生い立ちに原因があるのか、発話障害を患っています。(川に捨てられていた孤児らしく、首に大きな三本の傷があります。)政府の研究施設に清掃員として勤務しています。隣に住む、親友のジャイルズとの交友と仕事を繰り返す単調な毎日を送っていましたが…ある日、研究施設にて驚くべきものとの出会いを果たします。
それがあの半魚人。アマゾンの奥地で神と崇められいた生物で、未知の生物。アメリカ政府は彼を拉致し、研究対象としたのでした。(この生き物、名前が出てこないんですが…そっくりなので勝手にエイブと呼ぶ事にしました笑 因みに演じている方も同じです。)
清掃の仕事をしてるなかで段々と彼に惹かれていくイライザ。初めは友愛的な感情でしたが、一緒にお昼ご飯を楽しみ、音楽をかけて手話で会話をする…そのうちに段々とその感情は変化していきます。
ある日、彼の命が脅かされることを知り、エイブの脱走、保護、逃亡の計画を企てるのですが…。
その後の交流を経て、初めの友愛の感情は性愛をも含むようになっていきます。種族を超えて言葉は通じなくとも彼らは愛を通わすのでした。
イライザは発話障害です。「偏見の目を持たず彼だけが私を1人の人間として見てくれた」と。
エイブにも恐らく、研究施設で酷い仕打ちばかり受ける中で真摯に接してくれる彼女の気持ちが理解出来たのでしょう。
隣人であり親友のジャイルズも性同一性障害であり、1960年当時では相当生き辛かったのではと察するに余りあります。
ごめんなさい。あえてこのような言葉を使わせていただきますが、この3人が「異形」として愛の形は違えども愛を通わす。この様子を見て、姿や形なんてなんの関係もない。真っ直ぐでひたむきな想いがあれば、それは間違いなく素晴らしいラブストーリーだと確信するのです。
『そして深く青の底へ』
*重大なネタバレを含みます!ご注意を!
エイブは実はただのクリーチャーではなく、超能力的な治癒能力を有していました、事故で切り傷を負ったジャイルズの傷を一晩と経たず修復し、禿げ上がった毛根まで復活せしめたのです!笑
そんな微笑ましいカットも早々に過ぎ。
ザァザァと大雨が降る中の終局、追い詰められたエイブとイライザは敵の凶弾に倒れます。
エイブは胸に2発弾丸を受け、ついでイライザは腹部に。エイブの元に寄り添うように倒れ死んでもなお…と言わんばかりに息も絶え絶えの中エイブの手を握り締めます。
ジャイルズが一瞬の隙をつき敵を怯ませ、イライザの元に駆け寄ります、しかしイライザはもう虫の息です。エイブも倒れてしまい、もう待つのは悲劇のみかと思ったが矢先。
イライザの想いが通じたのか、はたまた降り注ぐ雨のおかげか、エイブの身体が鈍く光り出し、ゆっくりと起き上がります。胸の傷は瞬く間に回復しました。
静かに怒りに震えるように…敵にゆっくりと近づきその鋭い爪で一瞬にして喉を引き裂いてみせました。
すっ…と踵を返すとイライザの元に。血が滴り落ちる彼女を抱き抱えると、そのままドボンっと川に。
血を流したまま沈んでゆくイライザとエイブ。
彼が腰に手を回し、抱きしめると
なんと、彼女の首の傷がエラになり腹部の出血も止まりました。
そのまま2人は強く抱きしめ合うと、深く深く水の底へ沈んでいくのでした。
っと、このラストシーン。
ここもジャイルズの語りで締められるのですが…果たしてこれは事実でハッピーエンドなのでしょうか。冒頭と終わりのジャイルズの独白のような語りを聞くにこの物語はジャイルズの視点で展開されているんじゃないか?と思うんですよ。エイブの治癒能力を体験したのはジャイルズだけで、その経験則から水の底へ2人が落ちる中で「こうなっていれば」と描いたラストなんじゃないかーーー…なんて「パンズラビリンス」や「インセプション」よろしく、考えてみると面白いですよね。もちろん、そのまま見たままの解釈だっていい筈ですよ。ただコレ、デル・トロ監督作品だぜ?とだけ言わせて下さい 笑笑
『カットシーン騒動』
日本での公開にあたって、本来R18指定だったものがR15指定に変更されました。
公開前の噂では1分相当のカットが…なんて話も見かけましたが実際には一部ボカシが入るといったものでした。
もちろんコレが監督の意図には沿わない編集であったとは思いますし、無断での断行ならば許されるものでは無いと思います。
しかし、まぁ個人的な意見を言うならばシーン自体は別に問題なかったですよ。
性的な表現も多くみられる今作ですが、件のボカシシーン。おっさんのSEXのシーンなんですよ。正常位での接合部の1.2秒程のボカシ。
AVだってモザイクはいりますよ。
まぁ内容どうこうじゃあなくて、作品に対する敬意の問題だってのもよく理解できますが、
「絶対観に行かない!!!!」
なーーんて拗ねちゃうほどのこたないです。
観に行かない方がよっぽどもったいないと思いますよ。
この国でやるのには必要な処理だったんでしょう。すくなくとも今は。
変に映画通ぶって目くじら立ててしまうよりもとりあえず鑑賞してしまえば、楽しいのになぁ。と私は思うのでした。
『まとめ』
今作もたっぷりと堪能させていただきましたよ。デル・トロ・ワールド!
今までの作品と同様に素晴らしいクオリティでしたが、今までの作品とは時間の流れ方が違うように感じましたね。ゆったりと60年代のファンタジーに身を沈めるような…。心地よい時間と空間が劇場内にはありました。(客層もファーストデイの割には紳士淑女の方が多くてですね笑)
あ、そうだ。いちいち半魚人。じゃ寂しいのでブログ内で半魚人の事を勝手にエイブと呼称していますが、彼に名前は無いので勘違いなさらぬよう。
デル・トロ監督の展覧会とか、それこそデル・トロランドとかあったらいいのにな。とか思いますね。それほどに彼の世界は素晴らしい。
そろそろ語彙が寂しくなってきました。
では今回はこのへんで。
閲覧ありがとうございました!
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